前回のエントリーにおいて、Brad Fuller氏の作曲したものとして、テンゲン(アタリの子会社)版テトリスに触れました。
その際、このニュースも日本語記事であちこちで配信されていたのですが、それの反応を見ると名前の挙がっている『テトリス』の作曲をテンゲン製ではなく、他のテトリス、すなわち任天堂やセガのと勘違いしているのではないかという反応が多く見受けられました。
とはいってもそこまでアタリやテトリスに知識がない人には無理もないとも言えます。というのはテトリスは初期のものでさえかなり多くのバリエーションがあるので。その理由などは以下に。
■テトリス~そのシンプルなゲームの深い歴史 : Timesteps
というわけで、今日は初期のテトリスの主なものの音楽について触れていこうと思います。
Tetris / Conor Lawless
Atariテトリス(アーケード&NES)
まず、Brad Fuller氏の作曲のテトリス。前回紹介したものです。
これはテンゲンから出たもので、まずアーケードで出て、それからNES(海外のファミコン名称)でも出ます。その後テトリスの独占権を握っていた任天堂と裁判沙汰になります(経緯はテトリス~そのシンプルなゲームの深い歴史 で)。
日本ではあまり出回りのなかったものですが、海外のアーケードテトリスではセガ製よりこちらが出回っていたようで、海外のプレイヤーからすればこれが馴染み深いというのは納得出来ます。
セガテトリス(アーケード)
では日本で有名なテトリスは何かというと、まずはこれ。
セガがアーケードで出したテトリス。日本におけるテトリスブームの火付け役、と言っていいでしょう。
こちらのテトリスの曲はセガの川上泰弘氏によるもの(出たサントラの名前から「テトリミックス」と言われることもある)。基本的に同じ節の続くものですが、飽きさせず、スピードアップなどで緊迫感が上がったりと、まさにゲーム音楽としての役割を果たしています。
テトリスといえば後述するロシア民謡版が有名ですが、こちらのテトリスの音楽のほうがテトリスと言って思い出す人も少なくないでしょう。
あと、操作性はこの時代のもので抜群によいのがこのセガ版で、ここで操作性は完成に近かったと言ってもよいでしょう。
ミラーソフト版テトリス(PC)
セガやテンゲンのテトリスよりさらに前の、ミラーソフト版テトリス。PCのものです。
実は今回調べていてはじめて聞きました。
90年代当時のPC(これはDOS/VだけではなくてApple製その他も含む)の感じが出ています。でもセガテトリスを聞くと、当時はアーケード基板が家庭用のハードやPCよりかなりスペック的に先を行っていたのを認識します。
BPS版テトリス(ファミコン)
ファミコン版テトリス。ここから入った人もいるのではないでしょうか。メーカーはBPSで、もともと同社がPC向けに出していたもののファミコン移植になります。
継続モードはなく、一定のラインを消すと面クリアの方式。
ちなみに音楽は4種類から選べます。ただ、有名なコロブチカはタイトル画面で使われているのみになります。
任天堂テトリス(ゲームボーイ)
テトリスの独占権を勝ち取った任天堂が、ちょうど同時期に売り出し始めたテトリス。
対戦機能も付加して売り出しますが、これが功を奏し大ヒット。ゲームボーイの牽引役となります。
そしてここで使われたロシア民謡コロブチカのアレンジが、テトリスを代表する曲として有名になります。作曲は有名な田中宏和氏。
ちなみにBGMは3種類あり、これは「A-TYPE」と呼ばれています。
■B-TYPE:Let’s Listen: Tetris (GB) – Type B Music Theme (Extended) – YouTube
■C-TYPE:Tetris (GB) Music – Music Type C – YouTube
珍しいゲームボーイテトリスメヌエット版
しかし、ゲームボーイテトリスには、A-TYPEが前述のコロブチカではなく、「メヌエット」のものが存在します。それは初期ロットの方のみ存在したもの。
同じゲームのロットで、途中で音楽が差し替わるというのはかなり珍しいので、その意味でも注目です。
まとめ
というわけで、初期の方だけでもこれだけいろいろあるわけです。
これ以後の作品のものも加えると、いったい何種類あるのかは私にも把握出来ません。それだけテトリスの歴史が深く、そしていろいろな要因もあり多岐に渡るということですね。
ちなみに代表曲を出してみましたが、これらのいずれか、もしくはその他どれを自分の中で「テトリスの曲」とするのかは当然自由でしょう。