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音楽CDにおけるアルバム文化はなくなるのか

このようなエントリーが。

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ここでは音楽の売上高の減少は違法DLなどによるものではなくて、着うた、iTunesStoreなど1曲単位で買う形態にと変化したために、今までCDアルバムなどにより抱き合わせで買わされていた曲がなくなったことによるものが大きいのではないかという分析をされています。

私も同感で、曲自体に興味がなくなったのではなく(測定は出来ませんが、一人当たりの音楽の視聴時間自体は前と変わらないと思います)、単にこのように着うたなどで1曲単位で購入して聴いている、もしくは昔の曲のストックを聞いているために最新アルバムの売り上げが下がっているように思えます。

さてここで考えることは、じゃあアルバムはいらない子なのか、ということ。

 

たしかにJ-POPなどではお気に入りがシングルカットされていない場合、アルバム毎買わないといけませんよね。しかしバラバラに買える今、悪い言葉で言えば「抱き合わせ販売」から解放されたことになります。

ただ、アルバムはただ抱き合わせ販売だけのものではないと思うのですよ。まあたしかにあれだけの曲が入っていれば、全部を気に入ることは難しいかもしれません。ただ、アルバムの制作者もそれを作るときにはただごたごたと入れているだけではなく、ちゃんと構成に気を遣っている場合が多いのです。
例えば多くのアルバムには賑やかな曲もあればスローな曲も、明るい曲があれば暗い曲もとバラエティーを豊かにしています(もちろん例外はあり。森田童子とか貫いていた感じがあるし)。曲順も例を取ってみれば、ゆっくりめの曲からスタートして、2~3曲目で盛り上がり、次にやや落ち着いて暗めに、そしてそこからまた盛り上がってゆくとか。
このように、CDアルバムの編成もそのアーティストの重要な表現だと思う人もいます。実際、ヒット曲を並べただけのベスト盤を嫌う人がいますね(もしくはレコード会社が勝手に出してケンカになる場合もわりとあります。記憶曖昧ですが、スピッツやRCサクセションも昔のベストで揉めたような)。
しかし時代は移り変わり、CDアルバムの売り上げは下がっています。これは表現を奪うことなのでしょうか。
ただ、私はそうとばかりは思えないのですよね。それを言ったら、レコードのA面とB面の時からも編成の形態は変わっているわけですし。それなら今の新しい形態、すなわち着うたやDL販売にあわせた新しい表現形態がまた確立できるのではないでしょうか。
例えばCDは1枚74分の制約がありますが、iTunes Storeなどではそれの制約を打ち破って、100分強(つまりCDだと一枚半という無駄の多い編成)とかで組むこともできるわけですし。ですので、私の場合はアルバムからの脱却は別に作り手にとっても表現的には悲観すべきものではないと考えます。もっとも売り上げ的にはどうか知りませんが、でも音楽を聴くことが可能な形態が爆発的に普及したのですから、その分は相殺されているように思います。
つか、レコード会社にとってはその独自の方法を生み出せる今がチャンスだと思うのですけどね。

ちなみに、この点ゲームミュージックなどのサントラCDは全く正反対で、多少値段が上がっても全部入っていないと逆に文句を言われる傾向があると思います。あと曲順も多くの場合はゲームの順番通りです。これはすでにゲーム制作の時点で音楽の順番という表現を作ってしまっているから、あえて弄る必要がないからでしょう。いや、逆に順番を弄ったら怒られるかも。(あ、でも『Gダライアス』で、最初に「B・T・Dutch」(本来は2面ボスの曲)を持ってくるという編成には痺れましたね)。
あ、でも面(進行順)の概念があまりないゲームは編成するのがけっこう難しいかも。それはギャルゲーとかもそうですね。ですのでギャルゲーのサントラの編成というのは、案外注目する価値はあるのかも、と思ったりしました。

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