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ゲームの出来において功罪評を一人のみに対して行う危険

ゲーム業界人の評価ってものは、何から導き出されるのでしょうか。おそらくは、その携わったゲームの出来というものが大きいと思います。しかし、それの功績はたしかにその人の一部ではあると思います。しかし、そのゲームの功績はその人だけとは限らないとも言えると思うのです。

現代のゲームというのはほとんどの場合一人ではできません。それはおわかりのようにプログラマからキャラデザの人、シナリオ、作曲、そしてディレクター。他にも数え切れない役目の人が携わっています。

で、そのゲームがよかったとして、誰がそのよかった部分を作ったか、というのを判断できるでしょうか?ほとんどの場合は出来ないと思います。

 

ゲーム製作は共同作業です。そしてそれに携わる人は、それぞれの役目を果たしています。そしてそれは目立つ部分であったり目立たない部分であったり様々。結果的に目だつのはリーダーであるディレクターになってしまいがちです。

まあ、そういうまとめがうまくいったという意味でディレクターかプロデューサーが評価を受けるのは全然問題ないと思います。しかし、そのゲームの出来が全部その人のおかげ、もしくはその人のせいというのは違う気がします。

 

何が言いたいのかというと、ゲームの功罪を見えやすい一人の人間に外からの判断で押しつけてしまうのは危険ではないでしょうかということです。

例えばプログラムが正常に働かない場合も、プログラマーのミスというより無理なスケジュールを押しつけた上が悪い場合もありますし(デバッグ時間がなかったとか)、シナリオが悪かった場合も、無理な仕様変更を迫られたため、時間がなかったという場合もあります(というかこれはけっこう多い)。逆に名前のあまり出ていない人ががんばったために名作になったという作品もあるでしょう。

まあ一人でゲームを作り上げてしまうなら話は別です。昔の堀井雄二氏や中村光一氏、今なら(同人ですが)東方ProjectのZUN氏、『ひぐらしのなく頃に』の竜騎士07氏などでしょうか。そういう人ならゲームを一人で作りましたしゲームの評価は本人の評価とわりとイコールでしょう。

ですがそうではない場合、やはり目だっている一人ばかりを評価するのは危険かなと思うのです。

一人でやっているように思われる音楽だって、ゲームに絶妙に合うタイミングで組み込む人がいなければダメになります。それにさっき一人で製作しているといった方々も、陰でそのゲームの製作や販売をささえている人(営業、広報の人からデバッグする人、はては販促をしてくれる店員さんまで)がいるわけですし。

 

そういえば島国大和さんのマンガでは、全然仕事をしていないチャーリーなんていうディレクターがいますが、実際にそういう人たちが目立っている可能性がないとは言えないわけなのですから(もしくはその逆、出来が悪いのを誰かのせいにしてということも……)。

しかしそういったことはほとんどの場合、外部からは決してわからないでしょうね。内部事情を漏らすのはどちらかというと恥ずかしいことですし(これはゲーム業界に限ったことではないですが)、ものによっては職務規程違反ですし。

 

もちろん最初に出てきた有名人である宮本茂さんや横井軍平さんの功績を否定するものではありませんし、すごい人たちだと思います。しかし、あくまでゲームは共同作業なので、その人一人の功績の陰にはまた後ろに大勢の人がいるということを覚えておいて欲しいと思うわけです。実際、宮本茂さんがフランスから賞をもらったときも「自分というより任天堂としてもらった」みたいなことを仰ってましたし。

 

ま、広報的には目立つ上役がいたほうが売りがわかりやすいってのもあるんですけどね。だけどたまにはプログラマとかにも焦点があてられるといいなと思ったりします。記事の取り扱い方は難しいでしょうけど。

ちなみにゲーム音楽的には、タイトーZUNTATAでSEを作られているばびーさんという人がいるのですが、かなり先進的で衝撃的なSEを作っていたりします(「ダライアス外伝」「メタルブラック」など)。興味があればそちらにも注目してください(まあJ.A.M.があるので、ZUNTATAファンには有名な方ですな)。

 

◇余談

今日こんなことを書いてきましたが、こういうやや不条理を含めて評価を受けるのも業界人、と言われるとそうかもと言ってしまうかもしれないです(私が弱気なのかなあ……)。

あと個人的には、出来(売り上げ)が悪かったときに責任を取ってくれるトップなら、その分出来がよかった時に目だってもいいと思います。それは正当なものですから。あと目だちたくない業界の人もいると思うので。

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