『さんまの名探偵』の推理アドベンチャーとしての面白さ《レトロゲーム回想01》

ファミコンことファミリーコンピュータが大ブームになっていた1980年代後半。ハードメーカーの任天堂をはじめとしてサードパーティーからも数々の面白いソフト(&そうでもないソフト)が次々と出されました。その中で大きな存在となっていたのが、アーケードの雄であるナムコ。しかしナムコはアーケードの移植だけではなく、数多くのファミコンオリジナルソフトも開発し、発売しました。

その中では異彩を放っていたものもあります。それは1987年4月2日にナムコから発売された『さんまの名探偵』。部屋を整理していたらちょうど出てきたのもあり、今日はこのソフトの魅力について書いてゆこうと思います。

さんまの名探偵

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当時人気絶頂の吉本所属芸能人が出演

このソフトの知名度は高く、現役で遊んだ人、そうじゃなくてもレトロゲームとして名前だけは知っている人も相当数いるでしょう。その理由として一番はやはり明石家さんまが主人公であったこと。そしてその他出演者も非常に豪華であったこと。

具体的には明石家さんまのほか、桂文珍、横山やすし、今いくよ・くるよ、太平サブロー・シロー、オール阪神・巨人、島田紳助、西川のりおといった吉本興業の面々。当時『俺たちひょうきん族』が大ブームでしたが、その出演者も多く、当然注目を集める存在となりました。しかし今見直してみると、島田紳助など引退した人、今いくよ、横山やすしなど亡くなった方など、時代の流れを感じます。

しかしこのような出演者の豪華さを差し引いても、このゲームは当時の推理アドベンチャーゲームとして良作でした。

秀逸やテキストや小ネタの仕込み

まずテキスト。基本推理アドベンチャーなので、事件に即した情報収集的会話が中心となりますが、その合間にコント的なお笑いが入り込んでくることがわりとあり、笑わせます。しかし本当にすごいところは会話シーンのみならず、「しらべる」「たたく」など推理ゲームのコマンドの反応の多くにテキストネタが仕込んであること。

それまでのアドベンチャーゲームは数多くの関係ないコマンドの中から次に繋がる当たりを探るという感じでしたが、もちろんそれまでのコマンド選択式アドベンチャーにもこういう関係ないところでの反応ネタはありましたが、このゲームはそれらの小ネタ仕込みが多く、且つ笑わせるものになっています。それにより解決に向かすコマンドを選択するという行為が、当たりを探すための苦痛ではなく、たとえそこではなくても「楽しいもの」にしてしまったと思われます。もちろんそれまでのもの、たとえばファミコンならば『ポートピア連続殺人事件』でもそういう関係ないものの反応はありましたが、むしろその(事件解決という本筋からすると)「外れ」となるそれを狙ってやっても楽しかったのはこのソフトの一番のポイントではないでしょうか。

ちなみに印象に残っているネタとして、風呂を覗いたりすると真っ黒な画面に「ファミ倫」とかいうのが表示されますが、当時はそういうのがなかったから出来たものであって、今だと出来ないでしょうね。

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推理ものとしてもいい

とはいえギャグ一辺倒ではなく、推理ゲームとしてもちゃんと基本的な筋を踏襲していていい感じです。先行していたポートピア等に比べると難易度はだいぶ易しくなっているのですが、テキストを楽しみながら攻略本なしでじっくり解くのにいい感じ。

ちなみにギャグテイストなのにもかかわらずBGMの効果もあって殺人現場などわりと緊迫感があります。あと孤島に取り残されるバットエンドが微妙にトラウマ。

進展がわかりやすいマップ

さんまの名探偵_マップ

このゲームは捜査出来る範囲が広がるとマップがどんどん広がってゆくというのがあります。このように視覚的に広がりを見せたことは、ゲームの進んでいる実感を与えました。また多くの場所が実在の地名であったので、それが出てくる楽しさもあったでしょう。自分は東京住まいなので、なんば花月などここではじめて大阪の名所として知ったところがいくつもありました。

結構遊べるミニゲーム

さんまの名探偵_ミニゲーム

あとこのゲームにはギャラクシアンを模した『ギャラクシガニ』や墓場のアクション、追いかけっこなどいくつかミニゲーム的なものもあるのですが、わりと出来がいいのですよね。おそらくファミコン当時のゲーム中ゲームではかなりよいほうかと。とはいえたいていのものはクリアしなくても攻略出来たりしますけど(上のも途中中断パスワード必要なければいらない。ちなみに時計に当たると落下がストップする)。すみのえ競艇ではジョイボール使った思い出。

メリとハリの音楽


このゲーム、音楽、そして効果音の出来もかなりいいのですよね。コミカルであるという大前提を保ちつつ、邪魔にならず、しかし長い間聞いていてもいい感じのいいBGM。と思いきやシリアスな場面になると一気に緊迫感迫る感じになるのがかなりメリハリがあっていいです。

更に効果音もかなりいい感じに仕上がっており、コミカルを保ちつつもちゃんとサスペンスに必要なものが揃っている感じ。「どつく」の音が特徴的。

この時代だから作られたソフトかも

このように芸人のキャラまかせにせず、ゲームとしてもおもしろいところを抑えていることが、多くの人の印象に残るソフトとなったと思われます(勿論芸人のキャラクターがあって面白さを倍増させていますが)、

ただこのソフト、復刻やリメイク、そしてバーチャルコンソールの配信まで行われていません。それは今それをやろうとすると、肖像権で金がかかる以前に不可能に近いと思われるので。前述のようにすでになくなっている方、引退している人がいるわけで。ちなみに当時も出演者と吉本興業の間でそのへんの合意が取れておらず、揉めたという話も聞きますし。

ただ、個人に許諾をとったりなどして仮に今同じように出来たとしても、コストがかかるだけではなく監修を入れなければいけないが故、同じような自由すぎる雰囲気は出せないでしょうね。そもそも芸人が殺人被害者とかNGかかりそうですし、作中のテキストで実名出すのもかなり苦労しそうですから。前述のように「ファミ倫」一つとっても無理そうですし。まあ出てももう30年近く経っているので時代がズレすぎてネタがわからないというのもあるでしょうけど。

ちなみにPSで同じくナムコから出た『ナイナイの迷探偵』というのがありますが、この作品ほど話題になりませんでした。それはやはりゲーム業界もお笑い社会の権利意識も向上して同じようなことが出来なくなったのも大きいと思われます。となればゲーム業界がまだ未成熟な市場であったからこそ出来たものでしょう。

まとめ

前述のようにこのソフトについては復刻はほぼ絶望的です。ただ、出回った数が多かったせいで、ファミコンの中古市場での入手難易度は低いです。まあただネタも30年前なので、当時やった人かそれなりに年齢高い人じゃないとどこまで通用するかはわからないのですが。

だけどさんまの名探偵に限らず、肖像権やそれ以外の版権事情が復刻を難しくしているソフトは数多く存在します。それらの歴史的継承をどうするかというのは、一つの課題でしょうね。

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