1984年に登場した最初のゲームサントラと言える『ビデオ・ゲーム・ミュージック』は、CDが普及する前に出されたもので、媒体はLPレコード(アナログ盤)でした(後にCDで復刻)。しかしその後CDが普及しレコードでのリリースはほぼ消滅したものの、近年ではアナログ媒体として再評価され、とりわけ海外では新しく製作されたもののリリースがなされています。
それはゲーム音楽のサウンドトラックでも顕著で、海外では日本のゲームを含め、版権を取得して独自に製作されたレコードが様々なサイトで販売されています。
海外で販売される独自レーベルのレコード
前述したように、海外ではレコードがリリースされることが増え、去年はとうとうCDの売り上げを超えてしまいました。まあこれは、もう海外ではすっかり音楽配信が主流(以下の記事ではストリーミングが85%以上)になっていてパッケージ、とりわけCDの販売が激減したことによる影響のほうがはるかに大きいのですが。
ただ、激減するパッケージの中でレコードが注目を浴びているのも確かで、ゲーム音楽でもそのことが何度か記事になっています。
それら昨今のゲーム音楽レコードでの面白いところは、メジャーなパブリッシャー(スクエニ等がたまに自社製作で販売することがある)からだけではなく、小規模なゲームグッズサイトなどが独自に、メーカーから版権の許諾を受けてリリースしているものが多いこと。同じゲームのサントラが、複数のレーベルから販売されることもあります。
ただ、それ故に販売数はあまり多くなく、入手方法の大半は直接の通販でのものになるようです。
しかしこれらのもの、国内パブリッシャーからたまに出ているものを除けば、日本ではあまり見かけないでしょう。それは前述のように小規模で自社サイトでの通販がメインというものなので、国内流通に乗らないことが主因だと思われます。
たまにBEEPなどの専門店で販売されたり、Amazonで(かなり高値で)売られることはありますが、店頭で入手するのは難しいと思われます。
海外からゲーム音楽レコードの障壁はそこまで高くない
ではどうするかというと、やはり直接海外のサイトに注文して入手するというのが一番手っ取り早いでしょう。日本への配送に対応していないところもあるかもしれませんが、大抵のサイトの送付先には日本も含まれています。
しかし、海外での通販は不安だという人は、それなりに多いと思われますが、少なくともこの手のゲーム音楽レコードに関しては、ちゃんとしたサイト(後述)であれば英文のメールなどのやりとりもなく、フォームに入力してゆくだけです(むしろAmazonで変なマケプレを利用するよりよっぽど確実)。
多くの場合、会員登録をして、そこで発送先などを入力する場合が多いです。
気をつけるところとしては、(サイトにもよりますが)基本的に日本のショッピングサイトと同じ感覚で漢字を使わず、アルファベット入力が基本。
決済については、サイトによって異なりますが、たいていの場合はクレジットカード(VISAかマスターカード、アメリカンエクスプレスのような世界的に取扱いがあるブランドが対応)か、PayPal。Steamのなどの決済でPayPalを利用している人は、サイトが対応しているならそちらが便利で安全と思われます。
海外通販で注意すべき点
ただし、注意すべき点もあります(海外通販だと注意点は多いのですが、ここではゲーム音楽レコードを買う際の最低限のことだけ書きます)。
まず、海外からゲーム音楽レコードを購入する場合は、相手が送料を負担しない限りはどのようなサイトでも『送料が高い』ということが挙げられます。
海外通販は国内通販より高くなるのは当然ですが、近年は国際的事情(主に米国からのもの)により、送料が高騰しています。発送場所や方法、商品の重さ次第で変わりますが、4000円以上かかることもあります。参考までに、去年後述のDATA DISCSで購入した場合、ロンドンからの送料が2枚で約17イギリスポンド(本日のレートで2,611円)、4枚で27イギリスポンド(本日のレートで4,148円)でした。故に送料確認は必須。あと、できれば買いたいものをまとめる、近所の仲間と一緒に購入するなどひとまとめにして、出来るだけ負担を減らしたほうがよいでしょう。
また、コロナ禍での航空事情も相まって、到着までの日数が異様にかかることが多いですが、これは今後コロナ禍収束に伴い改善を期待したいところです。
あとは、悪徳サイト、例えば不正コピーで売っているところも混ざる可能性がありますし(最近ヤフオクなどでたまにそれっぽいのを見かけるので。また別の機会に書きます)、クレカ決済も保証はある場合が多いものの危険を伴います。限度額の低いセカンドカードなどで万が一に備えるのも手ですが、使えるサイトならPayPalの利用をオススメします。
サイトを見分ける基準
ではどの販売サイトが安心かということになりますが、このへん、正規の場合はメーカーのTwitterや作曲者からリリースが出ていることが多いです。実際『斑鳩』のレコード発売時にはトレジャーのTwitterからリリースが出ていました。
また、レコードの販売はゲームサイトなどでニュースになり(とりわけ4gamerなど海外に強いところで多い)、その際ちゃんと許諾品か確認されていることが多いので、そちらも参考になります。
販売サイトの一例
以下では、自分で購入してちゃんと送られてきたサイト、もしくは著作権元から紹介が出ていたりネットニュースで正規品として紹介されていたところを挙げています。
DATA DISC
ロンドンのゲーム音楽レコード製作レーベル。通貨単位はイギリスポンド(£)。
セガ、カプコン、コナミ、トレジャー、SNKなど日本ゲームメーカーの作品のレコードを製作。
ここでは『ポリスノーツ』『レイディアントシルバーガン』など日本では廃盤で入手困難になったCDをレコード化したものや、そもそもサントラ化されていないものが販売されています。とりわけ『斑鳩』は望む声があった日本未発売品だったので、速攻購入しました。(製品ページ)
ただ、新しいリリースが発表されたらかなり早く品切れになり(とりわけ盤面の色が異なる限定版は一瞬)、再版もいつ行われるかわからないので、望む人はニュースレターの購読を申し込んでいたほうがよいでしょう。
WAYO RECORDS
日本語表記では「和洋レコード」。文字通り、日本のゲーム、それにアニメのレコード、さらにCDやテープも販売しているサイト。
サイトはフランスですが、日本語対応もあるので読みやすいです。通貨単位はユーロ(€)。
最近だと、サターン発の名作RPG『グランディア』のCD&レコードが販売されています。日本でかつて発売され廃盤になっているCDは分割されての販売ですが、こちらまとめて収録されています。
fangamer
アメリカのゲームグッズサイトで、その中に独自のCDやレコードが販売されています。通貨単位はアメリカドル($)。
おもしろいところとしては、日本では『がんばれゴエモン〜ゆき姫救出絵巻』として発売された『The Legend of the Mystical Ninja』のレコードが存在するところ。ほかにも初代『風のクロノア』や初代『メタルギア』のレコードなどがあります。
ただ、こちらは一部の商品を取り扱っている日本支店であるfagamer.jpもあるので、両方見て日本支店にあるものはそちらで購入した方が送料分オトクと思われます。
あと、自分は購入していないので未確認ですが、ほかにも同じくレコードを販売しているサイトがあります。
Limited Run Games
見たところSNK、CAVEのレコードなどを販売しているようです。ただ、この記事の執筆時点ではSOLD OUTになっていました。通貨単位はアメリカドル($)。
Laced Records.
通貨単位はアメリカドル($)。
見たところ、鉄拳やストリートファイターなどのレコードがあります。
ほかにもサイトがありますし、単発で販売されるためにサイトが登場することもあります。最近だとペプシマンのレコードが作られていましたね。前述したように、その手のものは国内でもゲームサイトでニュースになるので、チェックしておくとよいでしょう。自分も見つけたらここで書いたりTwitterでつぶやいたりします。
ゲームサントラとしての新たな選択肢
この手のレコードは、まだCDなどでほかに音源があり、聴けるものはファンアイテムとしての要素が大きく、手間をかけて入手するか躊躇しますが、『斑鳩』などのように未サントラ化されていたものが新規音源になるケースもあるので、今後はゲームサントラ収集の大きな選択肢のひとつとなっています(まあ利便性的に同時にCDは無理でも配信はして欲しいと思ったりもしますが)。
まだCDがわりと現役な日本では、ゲーム音楽ファンの中でもレコードプレイヤーを持っている人もそこまで多くないかと思われます(まあG.M.O.レーベルを聴くために持っている人もいるかもしれませんが)。こだわれば沼なのはオーディオの業ですが、廉価版機種はそこまで高くないので、もし欲しいレコードがあったら入手して、その時にプレイヤーの購入も検討してみてもよいのではないでしょうか。