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『ゼノギアス』公式設定資料集復刊&ゲーム書籍復刊の難しさについてなど

今まで廃盤となっていた、『ゼノギアス』の設定資料集、『Xenogears PERFECT WORKS the Real thing -スクウェア公式ゼノギアス設定資料集』が復刊するということになったそうです。4/10発売で、既に直販やAmazonの予約も始まっています。

 Xenogears PERFECT WORKS the Real thing -スクウェア公式ゼノギアス設定資料集

Xenogears PERFECT WORKS the Real thing -スクウェア公式ゼノギアス設定資料集(Amazon)

 


復刊ドットコム』は廃刊になった本の復刊、再版リクエストをWeb投票で募り、その結果リクエストが高い本については権利者と交渉して復刊にこぎつけるというものです。わりと昔から存在しており、マンガの単行本などにおいて実績もあるのでご存じの方も多いでしょう。

今回そこからの復刊となったわけですが、驚くべきことは最初の社長ブログによると、それの”本部決(発行部数と定価の最終決定)における生産金額(定価×部数)は、何と1億円を突破”したとのこと。そしてそれは復刊ドットコムの中でも歴代最高で、一年間の売上の1/5以上1/4未満くらいになっているとのことです。復刊リクエストするような積極的な人のほか、潜在的にこの本の復刊を待ち望んでいた人が多かったのでしょうね。

 

簡易版『ゼノギアス』の歴史

さて、せっかくですからあまり知らない人、若い人のためにこの本についての予備知識など簡単に。

『ゼノギアス』は1998年2月11日に当時のスクウェアから発売されたRPG。王道的なものとは一線を画す世界観や重厚なストーリー、魅力的な個性溢れるキャラクター、美麗な音楽などで人気を博し、PS時代のFFシリーズとは違うスクウェアRPGとして代表的な存在のひとつとなっています。
ちなみに作中のイベント、「ソイレントシステム缶詰」は「みんなのトラウマ」「鬼畜眼鏡先生」として、今でも語り継がれるものになっているとかいないとか。
その後スタッフがモノリスソフトを設立し、ナムコから世界観を踏襲した部分のある『ゼノサーガ』シリーズを出すこととなります。

このブログなので音楽についても触れておきます。作曲は光田康典氏。重厚美麗な音楽は人気が高く、氏の代表作の一つと言ってよいものとなっております。こちらも一時期サントラCDが廃盤状態になっていたのですが、今は比較的入手が楽です。

ゼノギアス オリジナル・サウンドトラック
ゼノギアス オリジナル・サウンドトラック

下はiTunes版。視聴あり。

 

ゲーム書籍における復刊の難しさ

さて、人気があった本であるにもかかわらず、何故ここまで復刊されなかったのか。細かい事情は中の人ではないのでわかりかねますが、情況から推測できることはいろいろとあります。そしてこれらに起こっていることは、ほかのゲーム系出版物、いや他の書物やゲームサントラなどにも言えることでもあります。

 

版元の倒産と権利の行方

まず、版元である出版社、ここではデジキューブが倒産してしまっていること。これは復刊が滞る事情として非常によくあることです。ちなみにゲーム系では『ゲーメスト』を出していた新声社の本がけっこうそれにひっかかっているものが多いような感じかと。
とはいえ、デジキューブの場合は権利の多くは親会社で会ったスクウェア、そして現在のスクウェアエニックスに移っているはずですので、その点ではスムーズに行く面が他者よりも大きいと思われます。実際にデジキューブから出ていたサウンドトラックに関しては、一時期廃盤状態となっていましたが、現在では大半がスクウェアエニックスから再販されて、CDでもiTunes配信でも比較的楽に入手が可能です。

 

権利関係の複雑さ

さらにもうひとつは、ゲーム故の権利関係の複雑さ。ゲーム系書籍の場合、著者、出版社のほかにもうひとつ必然的に権利者として、ゲームの発売元の許諾が必要となってしまいます。この場合、出版社だけではなく、むしろゲーム会社が現存しているかどうかのほうが問題になってきたりします。譲渡されていてもまだ権利の行方がはっきりしている場合はまだましで、どこにいったのか分からなくなっている場合も多いといいますので。
サントラなんかでもこれで廃盤の復刻が困難なケースをよく聞きます。しかし最近はまさかというものが復刻されているので、その辺かなり苦労しているのかなと。以前出た『東亜プラン シューティング クロニクル』あたり、東亜プラン潰れているのにいったいどういうルートで権利とってきたんだろ?と、こちらが不思議に思うようなものもありますね。ちなみに最近レトロゲーの復刻サントラは増えていますが、よく(C)表記を見ると、かなり複雑さを示しているものもよくありますので、持ってる方は一度ご覧になってみては。

これもゼノギアスの場合はゲームと書籍の発行本が一致しているという点がありましたので、他と比べればまだなんとかなったのかもしれません(ただし所属していたスタッフが退社しているという問題はもしかすると大きかったかもしれませんが)。

 

売り上げの予想がつけにくい

ただ、上の権利関係より最大の原因となっているものは、やはり「売り上げが未知数」なことと思われます。
言ってしまえばゲーム書籍というのは書籍としてもニッチなほうで、熱烈なファンが復刊投票をしたとしても、実際ふたを開けると苦労のわりに売り上げが伸びない、なんてこともあるでしょう。これはゲーム書籍のみならず、復刻全体で言えることですが。その希望する人の熱意が本当に売り上げに繋がるのか、そこが出す側の難しいところでしょうね。

ただ、逆に言えば売り上げが担保されているとするなら、その分話が進みやすくなる可能性が高いとも言えます。そして今回このように、やや5000円という価格にもかかわらずこれだけ人気が集まっているということは、ものによってはゲーム書籍でも復刊で十分な売り上げが見込めると可能性があると証明出来たことになります。これは出版のみならず、他のあらゆるゲーム書籍の復刊を希望する人にとって、とても明るいニュースとなるのではないでしょうか。

 

次の復刊のためにも要望を出したものは購入しよう

やはり要望を出してそのまま放置というのではなく、それを買って、次の要望を実現させるための動力を出す側に与えることが重要かと思われます。リクエストと実際の売り上げの乖離が激しかったら、復刻自体に悪影響を及ぼしかねないですしね。

あと、復刻されたから安心、あとで買おうと思っている人、甘いです。実はこの手の復刻、いつまでもあると思ったら大間違いで、たいてい品切れになってしまい、また手に入らなくなる、なんてことはよくあります。ただ、その頃には需要が一段落し待っているので、再度の復刻というのは難しくなっていて後悔することもよくあります。そんな例を今まで幾度とサントラで見て来たので(下手するとプレミアどころか市場にも出回らないからねえ)。

さて、次に出して欲しいのは何かなと。

 

関係ないけど、私は学生時代に田中久仁彦氏のマンガ『秘境探検ファム&イーリー』のサイン会に行って、サインもらってきたことがあります。もう何年前だろ。

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