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iOS11へのアップデートで起こり得るゲームアプリの断絶

9月13日未明(日本時間)に行われたAppleの製品発表イベントにおいて、新型となるiPhoneXやiPhone8/8Plusなどが発表されました。それと同時に前々から発表されていた新iOSの「iOS 11」についても日本時間の9月20日から正式配信となることが発表されました。

しかし、これらのアップデートにはいつもよりも注意が必要です。というのは、今回のアップデートにおいて、古い32ビットアプリが使えなくなり、その中には現在動くゲームアプリも多数含まれているため。

 

iOS 11のアップデートで使えなくなる32ビットゲームアプリが多数

32ビットアプリが今回のアップデートにおいて使用不可能になることは前々からアナウンスされておりました。その経緯や現在iPhoneに残っている32ビットアプリの確認方法については以下に書きましたのでご参照ください。

iPhone新OS「iOS 11」アップデート前に絶対すべきアプリ互換性チェック - 空中の杜
日本時間での9月13日未明、Appleの製品発表イベントが行われ、新型となるiPhoneXやiPhone8/8Plusなどが発表されました。 そして同時に、新しいOSである「iOS 11」も、製品版の正式配信が日本時間の9月20日からとなる...

そこでも触れましたが、いまだに32ビットのままのアプリは、ゲームがかなり含まれており、使えなくなる32bitアプリ約18万7千本のうち、約3万8千本がゲームアプリとの推計もあります。

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かつてランキングに入ったような有名アプリも未更新

自分の確認した範囲内なのですが、その中には結構有名なタイトルも含まれています。

ひとつは大手メーカーの移植タイトル。セガの『アフターバーナー』や『クレイジータクシー』、CAVEの『怒首領蜂大往生』『デススマイルズ』『虫姫さま』、カプコンの『バイオハザード4』、バンナムの『マッピー』といったもの。ほかにアプリオリジナルでも、タイトーの『グルーヴコースター(初代)』『スペースインベーダー インフィニティジーン』、コナミの『ポップンリズミン』、『R-Type』など。
また有名ソフトハウスでは無くとも、『プリズム』、『Mr.Runner』シリーズ、『蒸留塔』、『Dark Nebula』など。

これらはiPhoneアプリの中期まで、まだソシャゲに比べて有料の買い切り型アプリが多かった時代にランキング入りしていたものなので、昔からのユーザーでは結構まだ残しているという人も多いのではないでしょうか(あと、ソーシャルゲーム等ネットが必要なものは、サービス終了した時点で使えなくなるのですでに消しているというのもある)。

これらのアプリが64ビットにアップデートされればもちろんiOS11でもプレイ可能ですが、現在アップデートされていない大半のものは、すでにアプリのダウンロードページ自体が消失していますし(そもそも企業自体なくなってそうなところもある)、ダウンロードページが残っているものさえも今の時点で更新されてないということは、かなり期待値が低いです。

正直、調べて直していて、有名だった作品もショップでの販売を停止しているのが衝撃的でした。これらがアップデートの手間なども含めた営利上の都合であれば、「ダウンロードコンテンツは反永続的に供給される」という考えは、コンシューマゲーム機やSteamなどでのダウンロードソフトも含めてそうとは限らないと考えないといけなさそうです。

 

スマホアプリの性質上、今後も遊べる環境を保存しておくことが難しい

しかし、今回使えなくなるということは「今後遊ぶのが非常に難しくなる」ということになります。それが今迄のアップデートや、ひいてはコンシューマ機などでの代替わりと異なるところです。

アップデートされていないこれらを遊び続けるためには、OSをアップデートしないままにしなければいけませんが(おそらくダウングレードはそう簡単に出来るものではないので)、セキュリティ上の都合もありますので、あまり好ましくはない状況です。といってもそのまま残すとなると別の端末を用意するなどかなり敷居が高くなります。

たしかにそういった昔のゲームは今となってはしょっちゅう遊んでいる人ばかりではないでしょうが、この手のものは「時間が経って気づいた時に遊びたい」というタイプのものも多いですし、そこまでしてとっとくにはどうかと思っても、完全に捨ててしまうのには抵抗があるのですよね。そして何よりプレイしたデータがゼロになるのがかなり抵抗あるのですよね。

今までもOSのアップデートでそれまでのゲームの動作保証がされなくなるというのはよくあることでしたが、ここまで思いきって切り捨てられるというのはなかなかあるものではなかったので、かなり影響は大きいと思われます。

 

ゲーム史のアーカイブ的にも問題

以前『ネット必須化によるゲーム史におけるアーカイブ断絶問題』として、ソーシャルゲームなどネットを利用するゲームサービスが終わると、そのゲームがプレイ出来なくなり、アーカイブの断絶が起きるということを書きました。

ネット必須化によるゲーム史におけるアーカイブ断絶問題
昨日、以下のようなツイートをしました。これゲームでも同じことが言えて、ここ10年市場で大きな存在となっていたケータイゲームでさえ、もうプレイ不可能なものが多く、ゲーム史としてアーカイブがないと。しかも性質上、一応ローカル保存可能な電子マンガ...

そして今回の件は、ネットを利用するものではないスタンダロンのアプリにおいても、プレイの断絶が起こりうるという例になってしまった感があります。
つまるところ、数年後に「こういうアプリのゲームがあった」として、それを実際に遊ぶことがかなり困難になると。それらはすでにサービス終了したソシャゲやネットゲー、iアプリのゲームでは顕在化していると前述の記事で書きましたが、単体のアプリでさえその波からは逃げることが出来なかったということになります。
まあPCの歴史を振り返れば、将来的にはエミュレータも開発されるかもしれませんが、ちゃんと残せる合法的なものになるかはかなり不透明なので。

ネットが必須の現在、ほとんど全てのゲームにこのアーカイブ問題は降りかかるでしょう。しかし記録が失われるというのは、ゲーム史研究のみならず、ゲーム業界全体にも大きな損失となります。ここを合法的にどう保存を試みるかは、今後もより大きな問題となるでしょう。

 

これからも降りかかる課題

まずそれらもふまえ、お気に入りだったり残しておきたいアプリがある場合、iOS11へのアップデートは熟考する必要があるでしょう。
しかしこれらの問題は今後も起こり得ます。iOSのみならずAndroidでも、Windowsでも(Steamだって撤退して放置されるゲームとか出て来そうだし)。
そして、「現代のゲームプレイは永続性が保証されない」ということを認識して、それでも完全に遊ぶ機会を喪失しないで、アーカイブとして残せるかを考えるのは急務でしょう。

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