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シューティングにおける「ランク上昇システム」について語ってみる

 最近、じゃなくてだいぶ前からシューティングはプレイヤーが限られてきているというのは言われています。それはある意味、そのおもしろさがわかるのには時間がかかる場合があり、知識的、経験的に格差が生まれているのもあると思われます。で、それなりの経験者なら言うのも馬鹿馬鹿しいくらいのものが、初心者には全く知られていないってこともあり得るわけですよね。
 というわけで、今日はシューティングにある程度馴染みのある人なら知っているけど、知らない人は全く知らないであろう「ランク」について触れてみようと思います。
 例によって上級者には今更なことかもしれませんが、主にノーシューター、もしくは初級~中級者対象ということで。
 ゲーセンでシューティングをプレイしていて、最初のほうでミスって「ああ、今日は調子が悪いや」とおもっていたにもかかわらず、何故かいつもと同じところ、もしくはいつも以上の面に行ってしまった経験はないでしょうか。私は1990年代中盤、シューティングを毎日のようにやっていたのですが、これが多くていつも「ああ、今日の調子でもっと残機が残っていれば先に進めたのに」と思っていました。
 しかし、これは実は最初からゲームのシステムで最初から予定されていたことなのです。つまり、ミスをしたことで先に進める可能性が高くなり、逆にそうではないとあまり進めないようになっているというもの。
 これは、シューティングでは「ランク」と呼ばれているもののためです。
 ゲーム画面のコンフィグでは、最初に「難易度」が選べる設定となっているゲームが多いです。「EASY」「NORMAL」「HARD」とか。実はこれ、多くのシューティングにおいては最初の設定だけではなく、ゲーム中でも見えない部分で細かく変動しているのです。つまり、ゲーム中にプレイヤーが先に進みうるような行為を行うことにより、その難易度が上昇し、プレイヤーをなるべく先に進ませるのを困難にしているのです。そして、逆の行為を行うことにより、逆に難易度を下げて、進めるのが容易なようにさせています(最近のコンフィグでは、その上昇具合を調整する設定もあったりしますね)。
 さて、このランクが上昇する要因ですが、ゲームによって異なりますが、以下のような要素がよく使われています。

 ・ミスらないで先に進む
 ・ボムを打たない
 ・パワーアップアイテムをとり続ける

 主なのは上の2つです。
 逆にランクが下がる要因というのもあります。それは殆どの場合共通で以下のもの。

 ・ミスをする

 つまり、残機が残っていれば先に進める可能性は高いけど、それをゲームシステムは防止にかかる。そして逆に進めなさそうだなあと思ったら、それを補助しているというわけですね。それによりプレイヤーを飽きさせること、もしくはあきらめさせることなく、そのプレイヤーに対して適当な難易度を提供しているのです。
 初級~中級者くらいだと、最初の方にミスるとリセットをしてやり直してしまう人がいますが、クリアを目的とした場合、それはもったいない行為となるわけです。
 実はこれはわりと昔からあり、1980年代のシューティングにもすでに存在していました。しかしあくまでゲームシステム内部の存在であり、一部のハイスコアラーには認識されていましたが、あくまでごく一部の隠れた存在でした。つまり、「漢はランクなんて気にせずそのまま突き進め」的なものがあったように思えます。
 しかし、1990年代、多くのシューターにこのランク上昇を認識させるものが登場します。その名は『バトルガレッガ』。
 実はこのシューティング、ランク上昇を気にせず突き進むと、おそらく全国でもクリアできる人はいるの?というくらいの難易度となります。ちなみにランク上昇の要件もノーミス、ノーボム、パワーアップ以外にも「弾を撃ちまくる」というものがあったため、うかつに連打も出来ないというものになっていました。
 ※実は、このシステムはタイトーの『ガンフロンティア』において似たようなものが存在していました(画面外に抜けた弾の数でランク上昇)。それはガンフロ当時は邪道扱いされていた連射装置の防止的な側面もありました。
 しかし、逆にランクを意識して、「パワーアップをとりすぎない」「無駄弾を打たない」「ボムを出来るだけ使う」「わざと死ぬ」といった方法で進むことで、難易度をあげずにクリアできる、という方法が伝わりました。このゲームによってシューティングにおける「ランク」への意識が高まったように思えます(ただ、『バトルガレッガ』がそれを意識していた、というよりかは、かなり偶然性の高いものだったとは思えますが)。

 ちなみに同時期に『極上パロディウス』『セクシーパロディウス』という横シュー史上高難易度の部類に入るものもありましたが、あれもランク上昇に気を遣っていたような(しかし「スペシャルステージ」は一切の小細工がきかない)。
 さて、そんなわけでランクがシューティングにおいて認知されるようになりましたが、これはある意味ハイスコア争いの歴史も変えたように思えます。
 それまでのシューティングはたとえランクがあっても「難易度を気にせず先に進め、難易度が高ければ得点も上がる」的な思想があったように感じられますが、この90年代中盤以降は、「どれだけ自分で可能な範囲で調整出来るか」という要素がハイスコア獲得に大きな要素となってきます。
 たとえばシューティングの比較的多くのものではクリアした時に「残機ボーナス」というのが与えられることがあります(例『ダライアス外伝』『斑鳩』)。つまり残りの機体×点数がクリアしたときに加算されるわけですが、それが意外と高めなため、ハイスコア争いではノーミスであることが前提となることもあります。しかしこれは前述のようなランク落としが出来ないということで、ランクが上がったまま進む、すなわちとてつもなく難しくなる可能性が高いのですね。そこで計画性が必要になると(まあただ、トップスコアラーの場合は残機ボーナスがある場合は、ノーミスで進んじゃうだろうけど)。
 ある意味シューティングにおける計画性が増したとも言えるかもしれません(で、その計画性をさらに押し進めたのがトレジャーシューティングかも)。CAVEの縦シュー、とりわけ『鋳薔薇』については言うまでもないですね。
 これらのランクシステムはおそらくほかのゲームジャンルでも同じ要素が含まれているものはあるでしょうが、シューティングが一番そのジャンルの進化に影響を及ぼしているように感じます。
 でも、シューティング初心者の方はあまりそこまで気にすることはないと思います。慣れてきてからでOKということで。ただ、最初にミスってもあきらめずにゲームオーバーになるまでやってみることをおすすめします。良質なシューティングは、意外と調整されていますので。

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