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据置ゲーム機がテレビから解放される可能性

ちょっと前にこのようなエントリーを書きました。

次世代の据置ゲーム機の発売はまだ時間がかかるのではないかと思う話
※この文章は2010年に書かれたものです。 かつて「(据置)ゲームハード5年周期説」というのがよく言われていました。これはゲーム機の据置ハードは、5年周期で次の世代のハードが各社から発売され、次世代ハード戦争が起こるというもの。たしかに19...

ここで書いたように(あくまで個人的な予想ではありますが)今度の据置機が登場するまでは、数年かかると思っています。

そして、もしかしたらその時、据置機というものについて、その定義が変わるくらいの大きな変化があるかもしれないとも思っっています。それはある意味今までの新ハードで見られたような映像技術の革新や、Wiiに見られた操作性の転換よりもさらに大きなもの。それは「テレビからの解放」。

 

テレビを必須としてきた据置機

今まで据置機というものは、長い間ゲーム機&ソフトの他に必ずなくてはいけないものがありました。それはテレビ。ファミコン以来30年近く、据置ゲーム機というものはテレビに接続することが必須でした。そしてそれは現行のWii、PS3、X360も同じですね。

何故か。それは簡単でしょう。テレビは何処の家にもあったので。且つ、映像を映せるものがそれくらいしかなかったので。かといって、ハードにつけてしまうには、コストがアップしてしまうため、テレビというものに頼った方がはるかによかったのでしょう。ちなみにファミコン以前には知る人ぞ知る9インチ画面つきの「光速船」というハードがありましたが、その定価は54800円もしたといいます。

 

若年層における固定型テレビの必要性変化

しかし今、この「テレビを使ってのゲームプレイ」というスタイルから、脱却しつつあるのではないでしょうか。その理由は、固定テレビというものの存在が大きく変化する可能性があるので。

近年、「若者のテレビ離れ」と言われることがあります。実際、昔に比べると生活におけるテレビ視聴時間の割合は減少しているでしょう。要因はケータイやパソコンをはじめとした他の娯楽の普及や生活形態の変化までいろいろあると思いますが、昔のように2時間も3時間もテレビを見る、といったことはしなくなっている若年層の人も多いでしょう。

私が子供の頃にはまだテレビが子供部屋にある家はそんな多くはありませんでしたが、その後低価格化や小型化でテレビが家庭内に複数台置かれるようになってきました。しかし今後は再びテレビが自室に置かれなくなるというケースが増えてくる可能性があるのではないでしょうか。

さらに、現代ではワンセグが普及しており、ケータイにもついているし、パソコンを持っていればちょっとしたチューナーをプラスして見ることも出来ます。故に、テレビを見たいと思ってもは部屋に置くよりはそちらで間に合わせるという視聴スタイルが拡大するかもしれません。しかし、ケータイは固定テレビと違い、固定テレビに接続することは出来ないのです(PCディスプレイは場合による)。

テレビが無くなる、ということはないでしょう。何故なら高齢者の方にはまだまだテレビの需要は高いでしょうし。しかし、ゲームの購買層で中心となる若年層はテレビをそんな見ないから固定テレビを置かないという可能性は出て来るのではないでしょうか。特に仕事や学校で忙しいワンルーム住まいの独身の人あたりは。

となると、ゲームの接続できるテレビのない家庭にテレビが必要なゲーム機を売りつけても買ってくれないわけで、ゲーム機にテレビを依存させるということが今までと違ってリスクを背負ってしまうわけです。

2011年7月、地上波アナログ放送が終了する予定です。ここが固定テレビのひとつの節目になる可能性はあるでしょう。ゲームメーカーは、現在この後のテレビ普及率の動向を見ている、という可能性もあるかもしれません。

 

液晶画面における「枯れた技術の水平思考」

しかしそうはいってもゲームにおいては画面が必要ですので、それはどうするのかということになります。そこで思うのが、いっそのこと携帯機みたいにテレビをゲームハードにつけてしまうのではないか、という考えが浮かびます。今までだったら「そんなことは非効率的だしするはずはない」と思っていたのですが、近年にになってそう出来る要素が揃ってきたとも言えるので。

私は最近液晶ディスプレイを買ったのですが、その低価格っぷりに驚きました。かなりよい性能の24インチワイドでも2万円以下、ノートPC程度の15インチディスプレイだと、8000円台というのもあります。

つまり昔は付属すると光速船のように高くなってしまった画面も、今は据置機につけてしまっても、それほど値段は高くならないのではないかと思われるのです(ちなみに「テレビを利用するもの=据置機」という考え方もあるかもしれませんが、ここではとりあえず携帯機ではないものという意味で据置機という言葉を利用させてもらおうと思います)。

すなわち、ゲーム&ウォッチが当時電卓戦争が落ち着いて収束気味になっていた液晶を利用して安く仕上げたと言われるように、すでにそれなりに大きな画面の液晶ディスプレイも「枯れた技術」のうちに入って来ているのではないでしょうか。ならばそれを「水平思考」するというのも、全くあり得ないではないでしょう。

今までもPSOneなどオプションで液晶モニタがありましたが、それがほぼディフォルトになっている感じでしょうか。どちらかというとノートパソコンに近い感じとか。で、もしそれなりのディスプレイを持っているような人なら、外部に出力することも可能とか。ノーパソでも家に大きなディスプレイがある人はそっちに繋げて作業している人、いますよね。

 

開発側における画面統一のメリット

ともあれ、テレビをつけてしまえば、上述のようなテレビの有無にゲームハードの方が惑わされることがなくなるわけです。

そしてもうひとつそうするとゲームメーカーにとってのメリットがあります。それはユーザーのディスプレイ環境をある程度統一できること。

昔、ファミコンが登場した時、テレビと言えば多くの家庭では15~20インチのブラウン管でありました。故にゲームを作る側もユーザーの大半がどのような画面環境でプレイするか、というのは予測しやすかったわけですね。

しかし、現在はテレビが多様化し、それこそ昔ながらのブラウン管から3Dテレビまで存在します。そして何より大きさもピンキリで、下は10インチ程度から上はそれこそ壁一面を利用するものまであります。そこまでではなくても、一般の人でも15インチから30インチ台と非常に幅広いものになってしまいました。更に言えば、コンポジットからS端子、D端子、そしてHDMI入力と接続方式まで多種多様となっています。となると、どの層を想定してゲーム画面を作ればいいか、という問題が生まれてきます。そしてそれを外してしまうと、大きな画面で荒っぽさが目立つとか、小さな画面では文字が見えないなどといった問題が起きます。

これは、携帯機が持ち得ない、据置機の新たな開発上の問題になっているでしょう。

■参考:

テレビと据置型ゲームの微妙な関係
テレビ放送のアナログ停波は2011年7月とあと4年を切ってしまいましたが、正直それまでに完全移行できるかどうかとなると、微妙な感じとなっていますね。 ■「地デジの普及」は2011年に間に合うのか? さて、これが2011年までに普及するかはわ...

しかし、画面を統一してしまえば、その問題は解消されます。それを標準とすればよいのですから。もっと大きいモニタに繋げる上位互換はあるでしょうが、それはユーザーの選択次第かと。少なくともそれ以下の環境はなくなることにはなります。

 

テレビの前でプレイするというスタイルからの解放

そしてもうひとつは、それによって家の中のどこでも(場合によっては外でも)プレイできるようになるということ。今までの据置機はテレビの有無だけではなく、テレビのある位置でのプレイに拘束されてきました。しかし画面を付ければ、電源があるところならどこでもプレイできるようになります。バッテリーがあれば、電源からも解放されるかもしれません。これは携帯機同様かなりの利点となるのではないでしょうか。

 

ゲームの新しい可能性はまだまだあり得る

つまり、ちょっと大きめのノートパソコンのように、基本は家で使うけど場所の移動も出来る、なんて形のゲーム機が今後の据置機、もしくは据置機とも携帯機とも違うゲーム機になるのではないかと思われるのです。

これは、あくまで私の思いつきです。想定も日本の家庭事情のことであり、海外はまたテレビ事情も住宅事情も違うでしょうし。ただ、こういう路線の可能性、も十分あり得ると思うのですよね。だって、誰も「ゲーム機は固定のテレビを使わなくちゃいけない」なんて決めたわけでではないのですから。もしくは、私が思いもつかない形で、すでに様々なメリットを持つハードを開発している可能性も高いでしょう。

ゲーム&ウォッチが出るまでゲームを携帯すること自体が発想の範疇外だった人が多かったのに、その後一般化したように、そういった液晶の大きな画面がつくなど新しい利点のゲーム機なんてのも出てみればそれが当たり前になるのかもしれません。

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