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ゲーム雑誌の読者ページの思い出

前回ファミコン時代にゲーム雑誌の売り上げを左右したものとして「裏技コーナー」を挙げました。

しかし、裏技が廃れてきた上に、ゲーム業界が成長するにつれて情報の出し方なども整い、それによってゲーム雑誌の個性がだんだん薄くなっていった時代、売り上げを左右していたものは何でしょうか。もちろんスーファミ時代からPS,SS時代まではまだインターネットも普及していなかったので情報の速さなどもあるでしょう。また、サタマガ系列のように独自企画やインタビュー記事が充実しているという面もあったと思います。

しかし、あまり目立って言われることはなくても、確実にひとつの大きな柱として存在していたものがあると思われます。それは「読者コーナー」。

ネットがなかった時代の公開手段

前述のようにPS、SS時代が終わるまではインターネットは日本においてほどんと普及していませんでした。よって今のように自分のホームページやブログを開いて作品を発表するとかどっかのサイトやSNSに投稿して公開することも出来ませんでした。そんな時代に主な発表の場となっていたのが「雑誌投稿」。

すなわち自分の作った絵や文章を、読者ページがある雑誌に投稿してそれで掲載されるとう感じ……って今でもあるので説明不要だとは思いますが、当時はそれが非常に盛り上がっていたのですよね(同人誌もあったけど、ほとんどマンガな上、まだ狭い世界だった)。

 

ファンロードなどの専門誌と並んで投稿の場となっていたゲーム雑誌

投稿の専門誌としては堀井雄二氏もライターをしていた『月刊OUT』や、今も存在する『ファンロード』なんてのがありました。専門ではなくても少年ジャンプの『ジャンプ放送局』なんてのも人気のあるものでしたね。

ゲーム雑誌もほぼ例外なくその手の読者欄というものは存在しました。そしてそれはゲーム好きにとって、貴重な創作発表の場でもありました。同時に読み手にも非常におもしろいものが読める場でもありました。故に、あまり目立たないまでもそれらの盛り上がりは、確実にゲーム雑誌の売り上げを左右していたと思えます。

 

その影響を一番受けたのは、ゲーム雑誌のトップ雑誌となった『ファミ通』ではないでしょうか。実はファミ通、この読者コーナーにはファンが多く、ゲーム情報よりもこれを目的に買っていたという人がわりといたように思えます。

たとえば現在でも続いている「ファミ通町内会」における文書投稿や不条理系マンガの面白さのレベルかかなり高いものでもありましたし、「ゲーム帝国」は単行本化されるほどおもしろいやりとりがなされていました。私もファミ通このコーナーだけはコンビニで読んでいたという時期がわりとありましたし、インターネットで先に情報が入るようになった今でも、ここは読むことが多いです。
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ファミ通町内会<ファミ通町内会> (ファミ通Books) : ファミ通コンテンツ企画部,映像企画部

ほかにはソフトバンク系のBeep系列(『Beep!』『Beepメガドライブ』『セガサターンマガジン』『ドリマガ』)も読者コーナーがわりと強かったように思えます。というか私、ここに投稿して何回か載った記憶が(サタマガ時代)。やはりコアなファン層が強いセガ系ハードというのもあったのかもしれませんが。で、その流れがゲーマガに繋がったのではないかと思えます。

あとは同じくソフトバンクの『ザ・スーパーファミコン』や『ザ・プレイステーション』もわりと読者コーナーが盛り上がっていた感じがありましたね。投稿読者レースとかもしてましたし。こちらの特徴としては、女性の投稿者(と思われる人物)が多かったこと。なのでカラーイラストコーナーも充実していたように思えます。

あと、コンシューマ系ではありませんが、『ゲーメスト』はゲーム雑誌の投稿では最たるものでしたね。ゲーメストアイランドの盛り上がりはかなりのものでした(実はこれにも掲載経験あり)。

 

投稿からのプロも数多く輩出

そしてイラスト描きさんでは、ここと、後に創刊された投稿専門誌『ゲーメストワールド』の投稿からプロになった人も大勢でています(もしくは同人をしていた人がこっちにも投稿していたとか)。吉崎観音さん、桜瀬琥姫さんなどが有名。

まあ、どれもその分野で一番売れている雑誌(ファミ通は総合一位、ソフトバンク系は専門一位、ゲーメストはアーケード一位)ですが、それは投稿者の方も多くの人に見てもらいたいので、必然的に一番売れている雑誌に投稿が集まりやすいという性質があったせいかもしれません。まあ卵が先か鶏が先かって話になりそうですが。

 

最近はインターネットの普及と雑誌不況で、昔ほど投稿の勢いはありません。しかし現在でも尚こういった雑誌には投稿が寄せられて、発表の場の一つとなっています。おそらく雑誌という場がある限り、読者コーナーは在り続けるのでしょう。

 

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