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製品を包む梱包用段ボールに価値がつく時

 前回、シュリンクの話をしたので、梱包関連でもうひとつ。
 昔、サポートを手伝っていた時期があったのですが、その時にケースが破損しているからということで、ものが送られてきたことがあります。一応上司に相談すると、代わりのものがあるため交換して置くってということ。しかしここで一言、その上司がつぶやいたのは「本来ケースってのは、中のものを守る梱包材だったんだけどね」。
 さて、ゲームにせよCDにせよグッズにせよ、何らかのケースにつつまれていますよね。そしてその箱がないなり破損していると、買い取り価格が下がります。むしろ今の光学媒体のゲームソフトでは、買い取りでさえしてくれないでしょう。中古で売られているCDなども、ケースが破損していると、売値がかなり下がったりします(ちなみに自分はそういうのを買って、ケース交換しますけどね。売るつもりないしmp3にしたら棚行きだし)。しかし、これらはメーカーによっては「梱包材」という扱い、つまりCDというこわれやすい製品を保護するためのものであり、破損していても交換対象外だったりするみたいだったようです。少なくとも昔は。しかし今は、破損していた場合ほぼ間違いなく不良品と判断されるでしょう。
 CDケースの場合は破損が中身を傷つけることになりかねないのでそれは自然だと思うのですが、最近、その他のケース(←ダジャレじゃないので念のため)でも、同じように「以前は梱包品扱いだったのに、最近ではそうみなされない」というものが存在するように思えます。
 たとえばネットではたまに、何かのセットBOXを通販で頼んだら、その外箱に伝票がそのまま貼り付けてあったということで騒ぎになることがあります。しかし、それの発送元のみならず発売元にしてみれば必ずしもミスではなく、一番外の箱は「梱包材」とみなされていることも多いのです。しかし、ユーザーはそうは思いません。特に外箱にその製品特有の印刷がされている場合は。故に伝票をそのまま貼りつけて送ってきた場合「価値が下がった」ということで騒ぎになると。
 正直、私もコレクター的要素は強いので、その気持ちはよくわかります。しかし、メーカーから見てみれば「梱包材まで面倒見きれない」ということになるのです。
 これ、つまりはその製品において梱包材まで価値を持ってしまった、という興味深い例ではないでしょうか。価値というものは、絶対的なものではなく、人間が判断する相対的なものです。故に、例え梱包材として破損前提で作られたものでも、人によってはそれが製品の一部とみなされます。そして現代では、そうみなす人が増えたために、その箱の破損にも怒る人が出たのではないかと。
 たまにCDのオビやビニールをとっておくかどうかの話題が出てきますが、これも価値観の相違から来るものでしょうね(私はビニールはいらないけど、オビはとっておく派)。
 しかしそう考えると、たとえその梱包材の箱にもうひとつ梱包材を被せたとしても、それに価値があるとみなされれば、それも破損できないことになります。そしてさらにそれを包んでも、それに価値をみなされれば……と永久ループになる可能性も否定できません。
 となると、ある程度のところでそれを止めないといけませんね。その方法として最近では、一番外側の箱に「これは梱包材です」と注意書きがしてあったりするのでしょう(もしくは無地の段ボールで包むということもありますが、これは商品の見分けがつかなくなる可能性があるかも)。
 メーカーで通販をしたときに送られてくる段ボールの箱も、今は価値がないものとみなされますが、そのうち「この箱が破損している」「この箱に伝票がはりつけてある」というクレームが来たりして。そうなるとAmazon段ボールも……。

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