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格闘ゲームの音楽が他のジャンルと比べてやや目立ちにくい理由

 久々にゲームミュージック論的なものでも。
 「ゲームミュージックの名曲」と言うと、どんなジャンルの曲を思い出すでしょうか。こう聞くと多いのがRPGやシューティング、あと音ゲー、そして反面、意外と少ないのが格闘ゲームの音楽のように思えます。これはRPGのプレイヤー数が多いこと、反面格闘ゲームがアーケード中心で、今だとプレイ人数が限られていることもあります。しかし、それでも一般的にはもっとコア層しかプレイしないはずのシューティング曲のほうが人気が高いものが多いように感じるのは何故でしょうか。
 これ、前から考えていたのですが、格闘ゲームの曲というのは、ほかのジャンルよりも制約が多いのではないかと。ちょっと具体的に述べてゆきましょう。
■短時間&ループ必須
 シューティングの場合、ほとんどの場合面の長さは一定です(ボスを除く)ということは、曲をだいたいそれにあわせて作れば、ほぼ毎回その長さ分の曲を聞くことが出来るのですよね。中には計算してぴったりとそれに合わせているものもあります(『斑鳩』の1面曲、『Gダライアス』の「G・Zero」など)。
 反対に、RPGの場合、進行のスピードは多くの場面でユーザーに委ねられています。ですので曲を聴こうと思えば、ある程度ボタンを触らないでいれば、全部聴けてしまうと。
 しかし、格闘ゲームを見てみると、時間の長さが一定ではありません。瞬殺もあれば、タイムアップまでもつれこむこともあります。となると、プレイヤーにとっては毎回聴く長さが違うわけですよね。しかしあまり長い曲だとそれこそ曲が中途半端なままで終わってしまいますし、そうなると必然的に短井のをループするのが最適となるのかと。
 さらに、格闘ゲームはRPGのように、音楽を聴くためにストップすることは普通にやった場合は出来ません。となると、音楽をゆっくり聴けるという環境ではないのですよね。聴こうもものならそのまま10
連コンボ(オリジナルコンボでも可)。
 つまり格ゲーの音楽は、まず長さとユーザーが聴ける自由度の面で制約を喰らっているということです(まあループがあるのは他のゲームでも多いですので、それほどではないでしょうが)。
■ノリの良さが必須
 全部ではありませんが、格闘ゲームの音楽ではノリの良いものが採用されます。まあ、いきなり位のだったら戦う気をなくしますしね。よって、パターン化されてしまうやすいというデメリットが出てきてしまいます。
 ただ、それを無視して『新・豪血寺一族~闘婚~』の「ボクラノヒミツ」「小さなシアワセ」みたいに外してくるのも存在します。ちなみにこのゲームで使われている「レッツゴー!陰陽師」も、歌詞がアレなので変なように思えますが、実は曲自体はノリ重視だったりします。
■アーケード中心だから
 格闘ゲームはだいだいアーケードゲームから発生する場合が多いですが、ご存じの通り、ゲームセンターで音楽に気を遣っているところなんて一握りもありません。あるとしても、シューティングとか音ゲーみたいにごく一部。故に、音楽自体気に出来ないようになってしまっているのかも。
 もしかしたら制作側もそれを認識して、なるべく周りに隠れてしまわないような重厚な音楽にしたというのもあるかもしれません。
 あと、あえて挙げればラスボスを目立たせるために、その前のステージのテンションをやや下げているって可能性もあるかな(ラスボス曲は有名なもの多いし)。
 こんな感じで、どうしても格闘ゲームの音楽は残りにくいというリスクを背負っているのではないかと思うのですよね。
 でも、そんなハンデがあっても名曲は存在します。バーチャ、鉄拳、ストII、ヴァンパイア、飢狼伝説等、各シリーズを思い起こせば、心に残っている曲というのはあるのではないかと。VF2アキラステージの曲はくっきり頭に残っているし、ギース様の曲なんて何回アレンジされて使われたかわからんし。あと、「ソウルキャリバー」シリーズは、どのサントラもプレミアがついているくらいの人気音楽揃いですし(これは世界観も助けているかも)。
 最近、さすがに10年前ほどの勢いはない格ゲーですが、こういった音楽は昔とどう変わってきたのかを注目してみるのも面白いのではないかと思います。

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