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Wiiウェアでのコミック配信は成功するか

 今日の話題はまたWiiから。任天堂の最近の発表で、どうぶつの森Wiiのほかに発表された中で目立ったのが、Wiiに電子コミックを配信するという話題。
 ■角川・講談社・集英社・小学館、Wiiに電子コミック配信へ 共同で新会社設立
 おそらくは、携帯コミックがこの出版不況の中でなかなかの成長産業なので、今普及しているもので、電子コミックを配信しやすいWiiに目をつけた感じかと思います。
 ■参考・携帯コミックって読んでます?たけくまメモさん)
 さて、これは成功するのでしょうか。実際、まだ細かい仕様が出ていないので何とも言えないのですが、ゲーム好き&マンガ好きとしてちょっと考えてみました。
 メリットは既存の携帯コミックやPC配信と同じように、「本屋に行かずとも気軽に購入できる」「中古がない」「余剰在庫が出ない」「既存の購読層以外への拡大が期待できる」といったところでしょうか。また、Wiiウェアを買うのと同じように、クレジットカードかWiiのポイントカードがあれば購入できますので、課金が便利であり、且つ任天堂ですので知らないサイトより信頼性があるという面も強みでしょう。
 さらに、DSへのコンバートも検討されているので、携帯性に優れているという点もあるでしょう。
 逆にデメリット要素もあげてみましょう。
 まずは、電子であるが故の敬遠。これは紙の媒体に慣れ親しんでいるから、というだけではありません。パソコンを1日に何時間も見つめている人ならわかるでしょうが、テレビを含む光学モニターって、現在の技術では1日に何時間も見続けることが出来ないのですよね。故に、紙のマンガなら一気に10冊読む人でも、配信されたものでそれが出来る人はなかなかいないと思います。実際、私も一日何時間もPCの前でモニタを見つめていますが、横にマンガや本、そして音楽を聴きつつ、しょっちゅうモニタから目を離すようにしています(じゃないとそのうち頭痛が起きる)。
 それに、所有欲の問題。つまり、金を払うのにその対価が存在しないという意識。これは今までコミックに慣れ親しんだ人からは抵抗があるでしょう。それにおそらくこれらのデータは、コピー不可能なものでしょう。となると、一度消えてしまえばそれまでとなるわけで、そこに抵抗を感じることもあるでしょう。ただ、WiiみたいにID登録して、購入したものの再DL可能とかならやや抵抗が薄れるかもしれません。
 また、携帯と被る可能性が高いこと。つまり携帯コミックがすでにあるのに、Wiiで読む?という話。もっとも携帯で読まない市場、つまり子供とかに新しい市場が開ければいいのですが。あと、これは後述の画面表示問題にもかかわってきます。
 一番の問題は、既存書店との競争に勝てるかということ。本屋に行けば、最新の単行本は手に入ります。それにブックオフもあります。さらに本屋に置いていないものでも、今ではすぐにネットで取り寄せ可能なのですよね。つまり、注文してから取り次ぎに連絡して1週間という昔とは違って、本の流通もだいぶ整っているのですよね。それこそAmazonやセブンドリーム、bk1なら、自宅やコンビニに次の日に届くサービスもあります。
 さて、これらのメリット、デメリットに加えて、まだ発表されていないところでの疑問点もあります。
 まずは、画面表示方法はどうするのかということ。これは、携帯コミックみたいに1コマずつを表示してゆくものにするのか、それとも、既存のPC配信みたいに1ページずつを配信するのかが不明です。ただ、これが一番重要だと思われます。というのは、これにより読み方が全然変わり、対象者も変わってしまうため。
 1ページずつなら既存のコミックを読んでいた人、もしくはPCで読んでいたような人を主な対象とするでしょう。しかしながら、これには展開において欠点があります。それは、DSに移動できるような仕組みを作る場合、おそらく1ページを表示しきれないのですよね。というのは、文字や細かい部分が今のDSではつぶれてしまうから。いや、おそらくPSPでも無理でしょう。将来的に文庫本サイズの画面を持つDSでも出ればわかりませんが、今ではDS文庫ライクに開いて本みたいにして読む、ということは出来ないのではないかと。
 ですので、携帯コミック的に1コマずつを表示してゆくやり方になりますが、これだと主なユーザーは携帯コミックに慣れた人かなと思います。
 まあ、両方用意する可能性もありますけどね。でも、一コマずつ表示する方法は、それのための作業が必要となり手間がかかるので、採算がとれるかわからない時点で、それをやるかどうかは不明です。
 でもすでに携帯に配信しているのをそのまま使うという手もありますが、それだと携帯コミックとどう違って、しかも携帯性で携帯電話に負ける分、必要ない存在になってしまわないかなあとも思います。
 あと、価格の問題。先行するPCでの電子配信がいまいち大きな流れとなっていないのは、ラインナップの問題(比較的旧作ばっかり)もあるでしょうが、それと同時に価格の問題もあると思います。だいたいこれらの配信は1冊分が300円程度。たしかに本屋で買うよりは安いです。しかし同じものは、ブックオフあたりでは100円で売っていることも多いのですよね。つまり、100円くらいでないと、ブックオフに同じ本が置いてあるならそっちにとられると。だけど100円で採算がとれるか、そこが分かれ目でしょう。
 このように、Wiiでのコミック配信は不安定な要素が多いのですよね。ひとことで言えば、PCで普及していないコミック配信とたいして違わなければ、たいして普及しないような気がします。もっとも、任天堂はWiiウェアのひとつとしてしかとらえていないような気がしますので、当たればよい、当たらなくてもだめもとという感じかもしれません(じゃないと専用チャンネルもうけるだろうし)。
 ただ、記事を見るにどうやらWiiだけにとどまらない動きのようで、これから5年なり10年先なりを見つめ、コミックの配信をあらゆる方向で模索してゆこうという動きであれば、注目すべきに値するものだと思います。もしかしたらそのうちシステムやハードが対応して、現状よりもさらに便利に、そして安価にマンガを購読できるシステムが構築される可能性だったありますからね。数年前は携帯コミックが普及するなんて思われなかったわけですし。当然、失敗する可能性もありますけどね。
 ■参考・電子書籍端末売れず──ソニーと松下が事実上撤退
 でも仮に、これから単行本の売り上げに携帯コミックやWiiの配信が迫るようなことがあった場合、それを意識してコマの割り方なども今までの制作方法論から変わってゆくのかもしれません。それはゲームがハードにあわせて変化したように。

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