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長い間楽しまれるゲームというものは、メーカーにとってありがたくない存在なのか

 『ストリートファイターII』のブームに始まる90年代のゲームセンターでは、ほとんどの筐体が対戦格闘用になってしまったという光景がよく見られました。私の場合はあまり熱狂的なものを見ると一歩引いてしまう、ひねた性格があったので、格ゲーにはそこまではのめりこまず(それでも一通りはやりましたが)、シューティングやアクションを多くやっていました(はては「タントアール」をやりこんだことも)。
 なぜそれに変わったのか。それはこれが熱狂的な人気だったということもありますが、対戦格闘ゲームがゲーセンにもたらす収益が、それまでと比べて圧倒的によかったことがあります。それまでのゲームは、1プレイで延々と30分なり40分なり、それをクリアするまでやり続けるプレイヤーのために、回転が悪く、たとえその筐体の稼働時間が長くても、収益につながらないということもありました。もっと前の『ドルアーガの塔』などではそれが顕著だったでしょう。しかし格闘ゲームは、下手なプレイヤーなら1分を待たずに終了、そして次にまたコインが足されるという感じで、どんどんインカムが増えていく仕組みだったのです。このユーザーが対戦格闘を楽しみたいと思う心理と、ゲーセンがインカムを増やしたいという思いがうまく重なったのも、格闘ゲームがブームになる一因だったと思います。ただ、格闘ゲームの人気が下降線をたどってきた90年代終わりには、それのツケを払わされることにもなるのですが。
 それではコンシューマの方はどうでしょうか。
 さて、私たちがいいゲームとするものの要素の一つに「長く遊べるゲーム」というものがあります。しかし上と同じ考え方をすると、もしかして「長く遊べるゲーム」というのは、ゲームメーカー側にとって必ずしもいいものではないのではないでしょうか。
 ただ、現在シリーズとなっているものには、そういった「長く遊べるゲーム」もあります。それらはきちんと続編が出れば買われることが多いです。例えばウイニングイレブンシリーズなどは1作でも長く遊べますが、データを毎年更新することで次の売り上げにつなげています(その辺スポーツゲームは得ですね)。しかし前作と大差のない場合、「変化なし」とされて、前作ばかり遊ばれて売り上げを落とし、その後続編が出ないということもあり得ます。
 これってゲームに限らずにビジネスアプリなどでも同じことが言えるのですよね。例えば年賀状ソフト、これの画像素材をどの年でも使えるものにして、数年前のを延々と使い続けている人というのも存在します。それは別に機能に大差ないし、新しいのを買う必要がないからと。また、MSオフィスも同じで、数年前に買った2000を延々と使い続けている人もいます。今はOSがそうならないか…というところでしょうか。
 そう考えると、全く手抜きをしない、本当の長く遊べるゲームというのは、メーカーにとって得にならないのかもしれません。
 ただ、RPGやアドベンチャーというのは、だいたいがそんな何回も遊べるものではありませんが、それでもしっかり作られていれば良作とされることが多い分野です。もしかしたらRPGのナンバリングで続編が多いのは、それと関係があるのかもしれません。
 でも、やはりそういった良作が売れないのは悲しいですよね。そういった長く遊べるゲームでも売れるようにするには、やはり発売後も長く評価されることで、多くの人に売れるようにするのが一番ではないでしょうか。その意味で、初動売れ行き主義を崩す要素となる数々の試み(WiiのDL販売とか、みんなのニンテンドーチャンネルとか)は期待しています。
■追記
 PCギャルゲーがコンシューマと比べて圧倒的にアドベンチャーが多いのは、上記と同じ理由も一因としてあるかもしれません(まあ主にはアドベンチャー以外を作る能力が業界になくなってきているからでしょうが)。
■さらに追記
 私が長く遊べたゲームの代表的なものは、『ダライアス外伝』『レイヤーセクション』『カオスシード』『ミスタードリラー』『斑鳩』『レイディアントシルバーガン』『俺の屍を超えてゆけ』などなど。

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