スポンサーリンク

ゲーム制作と決算の非常に微妙な関係~年度末のソフト発売ラッシュに思うこと

 そろそろ年度末です。さて、ゲーム業界ではソフトがいっぺんに出る時期があり、それは特にクリスマス前、そして年度末だと言われています(あと夏休み前を加える場合もあり)。
 しかし、『クリスマス商戦』と言われ、購入する人が増えるのを狙ってソフトも投入される年末と、こちらの年度末は少々事情が違います。ご存じの方も多いと思いますが、年度末はユーザーの事情ってよりも会社の事情のほうが強いのですよね。それは、この年度の中で売り上げを達成するために、もしくは少しでも売り上げを増やすために、この時期に投入するという消極的事情。
 ゲーム開発は、発売するまでは一切の利益がありません。となると、今まで1年間ゲームを作ってきている状態というのは、金ばっかり使ってプラスになっていない状態なわけです。つまりそのマイナスをその年度内で解消するためには、決算が3末ならばそれまでに発売して、利益を回収しないといけないわけです。(実際は掛があるので支払いは後でしょうが、帳簿的な面では一応その年度に利益が出たことになるはず)。
 しかしこれは、期日ありきでソフト開発が進められ、延期がほとんどの場合許されたないために、クソゲー、いやそれ以前の未完成ゲームの温床になってしまうということは前々から指摘されています。ものによってはなんとか利益を上げるために、クリエイターには絶対無茶とわかっているスケジュールを押しつけられて、予想通り破綻するなんてケースもあるようで。クリスマス商戦でも同じことは起こっているのですけど、こっちはさらに顕著のような気がします。
 そういう現象を聞く度にいつも思うのですが、ゲーム制作ってこういった決算の制度って向かないような気がするのですよね。特に最近のように開発に1年以上かかる場合は。ですけど、ゲーム会社も普通の会社と同じように、1年ごとの決算がありますが、たとえ来年儲かるとしてもその年に開発費で利益が出ていないと、株式会社なら株主から文句を言われるわけですよね(それこそ株主の性質にもよりますが)。場合によっては責任を取らされることもあるでしょう。ですから、無理にその年度で治めてしまわざるを得ないという。まあこれは自己の保身だけではなく、会社が混乱したらクリエイターにも迷惑がかかるので、それを守るために仕方なく、という場合も多々あります。
 ですがこの「中途半端なままで作品を送り出す」というのは、かなり作り手にとってストレスがたまるのですよね。RPGなら、レベル6、こんぼうと布の服でラスボスの城に向かわせるような感じ(作り手が怠けていたというのなら弁解のしようがないでしょうが)。おそらくクリエイターの人に「どの月の発売を避けたいか」と聞けば、3月が一番多いと思います。
 もちろん現在のゲーム会社はそうしないと会社経営自体出来ませんから、この制度に準じています。中にはそれでうまくいっている会社(出資者や株主がゲームに理解のある人とかが多そう)もあります。しかし多くの場合はやはり1年ごとの儲け重視で判断されるでしょう。それは会社組織としては間違ってはいませんが、ゲーム制作にはもうちょっと長期的な視野で判断できるような指標はないのか、と思ってしまいます。少なくとも3月末が4月末に変わっても、それほど影響が出ないようにするためのものとか。じゃないと、3月がゲームの厄年ならぬ厄月になってしまいそうで(もしこれをふまえているなら、これからのゲーム会社では決算を3月以外の月にするということが多くなったりして)。
 でも、無制限に期間を延ばせるようになると、それに甘える作り手もたまに出てくるので難しいところなのですけどね。

タイトルとURLをコピーしました