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『画面が傷つく恐怖』は携帯ゲームの売り上げを左右するか

NintendoDSがゲーム機史上空前の大ヒットの中、隠れてひっそりいなくなってしまったハードがあります。それが『ゲームボーイミクロ』。

任天堂の戦略的には、DSはゲームボーイの後継ではなくて、あくまでファミコンの流れにおける据置機、ゲームボーイの流れにおける携帯機とは別の第3の柱として発売されました。そしてこの「ゲームボーイミクロ」はその携帯機の流れ、ゲームボーイアドバンス(SP)の後継という位置づけでした。しかし結果はご覧の通りで、初動以降は売れずに生産は中止されました。

これの一番の理由は、DSが売れすぎたからでしょう。つまりDSがDSのソフトに加えてアドバンスのソフトもプレイ可能なのに、ミクロはGBAのソフトしか遊べなかった点がマイナスだったのでしょう。(なんかサターン発売した後の32Xが思い浮かぶな……)あと、SPまでは可能だったGBソフトも遊べませんでしたし。ミクロ発売後一度生産を止めたGBSPがまた出荷されるという現象まで起こっています。

 

しかし、このミクロが売れなかった理由として、かなりポイントの低いところですが『携帯画面が剥き出しだったから』という理由があるように思えてきました。

携帯ゲーム機というのは、外に持ち出して使用出来ることを原則とします。となると、移動時に邪魔にならない大きさである必要があるのですが、同時に移動時の各種障害に耐える設計でないといけません。ちょっとの振動で壊れるようでは、とても携帯ゲーム機として使えませんし。

しかし同時に画面がついているものはそこに傷がつくことを避けなければいけないという命題もあると思います。言わずもがな、画面に傷がつくとたとえ動作に影響はなくてもたいへん目障りです。(気にするしないの尺度は個人差があると思いますが)というわけで、ゲーム機はそれを避けなければいけません。それまでは「気にしない」か「保護シールを貼る」、「家から持ち運ばない」の三択だったように思います。

そういえばゲーム機ではないですけど、こんな事件もありましたね。

■参考・『iPod nano』「画面に傷がつきやすい」と集団訴訟 ※リンク切れ

しかしゲームボーイアドバンスまではそれをする携帯ゲーム機はありませんでしたが、「ゲームボーイアドバンスSP」において折りたたみが実現ましたね。これはDSと異なり出来るソフトはゲームボーイアドバンスと同じでしたが、このSPがかなり売れた理由としては、バックライトの存在、折りたたみによるコンパクトさに加えて、この「画面を保護できる安心さ」があったように思うのです。

 

というわけで、ミクロが売れなかった理由の何十番目かには、一度この折りたたみにより、画面が本体にガードされる安心さを知ってしまったから、剥き出しの画面は売れなかったのではないか、とも思えるのです。
ただ、実際には剥き出し型でもそんな致命的な傷のつく心配ってのはあまりないでしょう。(ミクロもガワ交換出来ますし)どうしてもっていうのでしたら、保護シートだって売っているのですから。しかし、これは現実的にどうというよりは、心理的な要素、つまり「画面が剥き出しになると、傷かつきやすい。だからガードしてくれる仕組みの折りたたみは安心」という先入観が強かったのではないかと。

 

そういえば、携帯電話も昔、画面が白黒の時代はみんな画面剥き出し型の縦長タイプでした。しかし今の主流は折りたたみタイプです(私が最初に買った携帯もN501という折りたたみ型)。ここにももしかしたら画面が傷つく恐怖から守ってくれる二つ折りの安心が心の奥底にあったのでしょうか。特に携帯電話はポケットの中に入れることが多く、傷かつきやすいですしね。(まあこれは折りたたみで大きさが半分になったってほうが利点が大きかった気がしますが)

最近で剥き出し型画面といえばやっぱりPSPですが、これも周りの知人の多くは画面に保護シールを貼ってますね。しかも携帯ゲーム機の中では一番の高画質ですから、余計傷が気になる人も多いでしょう。(そういえば秋葉原の中古屋だと、やけに傷の存在を書いてあるなあ……)とはいっても、これがDSに比べて売り上げを落としている理由……なんてことはほとんどないと思います。ただ、同じ性能を持っている、折りたたみなど画面をガードできるものが発売されたら、GBSPの時のように、そっちに買い換える人も増えそうですね。まあ新型PSPも出ていない時点で気が早すぎですけど。

さてiPod、W-ZERO[es]、iPhone、これらはすべて剥き出し型画面ですがかなり売れています。しかし、もしこれと同じハード的性能を持つ製品が、折りたたみ式等画面が剥き出しにならない形でで出たとしたら、売り上げはどう変わってゆくのでしょうか。注目したいところです。

 

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